人類はどこに向かうのか?

原丈人

2022年は後世にどのように記録されるのでしょうか。終わらないパンデミック、ウクライナとロシアの戦争、世界的に広がるK字経済(格差が二極化した状態)、無視できるラインを大きく超えた気候変動リスク……。

はたして、私たち、人類はどこに向かっているのでしょうか。歴史の発展プロセスは、螺旋階段を登るように発展する。ドイツの哲学者、ゲオルク・ヘーゲルは弁証法の主要なテーゼとして「事物の螺旋的発展の法則」をあげています。これまで多くの人が、人類の文明は螺旋階段を登っていくような形で刻々と進化を遂げていくと、暗黙に信じてきました。

しかし、2022年の私たちは同じ地上階をぐるぐると周り、静止していただけなのではないか、そう悲観したくなるような惨事がたくさん起きています。誰もがいまの世の中の形はおかしいと気づいています。ミルトン・フリードマンが夢見た資本主義の世界観が急速に限界を迎えている、この点に同意する人は多いでしょう。

ここ数年、「持続可能な社会を作ろう」という号令のもと、SDGsやESG、ステークホルダー資本主義などが言われるようになりました。企業だけではなく、この動きは、政治も軌を一にしているように見えます。バイデン大統領は中間層の復活を掲げ、富裕層への増税を決定。マクロン大統領は、フランスの政治エリート学校を廃止。その動きに呼応するように、日本でも岸田文雄政権が発足し、富の再分配と格差解消を一丁目一番地とする「新しい資本主義」が掲げられるようになりました。

この新しい資本主義の骨子にある思想は、原丈人さんが提唱する「公益資本主義」によるところが大きいと見る向きがあります。原さんは、SDGsやESGが言われる遥か前の2007年に、自らの著書で公益資本主義を提唱していました。

ところで、この原丈人さんは100年後の未来(2122年)ではどのように記録されるのでしょうか。

2022年を生きる者として、持続可能な社会が醸成された100年後の世の中を想像したい。その際に、未来のことを聞くのに、一番の適任者は誰か。私たちが雑誌を発刊するにあたって、100年後の人類に「こんな人がいたんだよ」と知ってもらいたい人。その筆頭格が原丈人さんでした。この人の言葉を未来に届けたい。そんな思いからこの雑誌のプロジェクトは始まりました。

原さんとのお話は3時間にも及びました。

原さんは一貫して、世の中をニュートラルに見ることの大切さを説いていました。その他にも、世界中に教育を受けて健康で豊かな中間層をつくりたい。そのためにどう動くべきなのかといったテーマや、日本が衰退していくことに歯止めをかけるためには何をするべきなのかといった点にも触れました。

皆さまにTHE RACEを手に取っていただきたいため、ここでは原丈人さんの言葉の数々を紹介することはしません。

以下に、私たちが原さんに投げかけた問いを明記します。原さんがどのように答えたのかにご興味を持ってくださる方がいましたら、ぜひ本編を手に取っていただきたいです。

  1. 原さんは100年後の人たちにどのような言葉を投げかけるのか?
  2. 民主主義でも共産主義でもない、100年後の世界のカタチについて
  3. ここ数年のメガトレンド、持続可能な社会を醸成するためのフレームワークESGやSDGsステークホルダー資本主義をどう見ているのか。
  4. 公益資本主義とは何なのか?

他メディアでは語られていない内容が盛りだくさんです。原さんからお預かりした、未来の人類に向けての独白はTHE RACE本編でのご紹介となります。

また、原丈人さんの他にも、ビジネス、サイエンス、アートの3領域で活躍するさまざまな方達による100年後の人類に向けた言葉をお預かりしています。

皆さま、ぜひ、本編を手に取ってみてください!