「クラウドキャスティング」は、これからの時代のエンターテインメントを変えて行く【PR】

BIJIN&Co.株式会社 代表取締役・田中慎也


最近、芸能関係の方から、「イベントに呼ぶタレントの出演交渉のやり方が変わった」と聞きます。
実際に多くの芸能事務所のHPには、出演依頼は「クラウドキャスティングから」と記載されるようになりました。このクラウドキャスティングとは何なのでしょうか。

 

今回は、同サービスを提供するBIJIN&Co.株式会社の代表取締役、田中慎也氏にロングインタビューを実施し、キャスティングの世界が目まぐるしく変容していることを紐解きたいと思います。

 

それにしても、この田中社長は面白い人でした。様々な事業を成功に導き、臆する事なく「芸能界や地元・北海道で影響力をもちたい」と発言する田中氏の「現在の取り組み」、「これまでどのような人生を歩んで来たか」、「今後の構想」について3回に渡って紹介します。

 

多種多様な分野で成功を収めて来た田中氏の物事の捉え方や思考法は、起業家・実業家にとっては貴重なナレッジとなるのではないでしょうか。

 

田中慎也(たなか・しんや)

BIJIN&Co.株式会社 代表取締役
1977年北海道生まれ。1999年に株式会社ビーコミュニケーションズを設立。2010年、美人時計の事業を買収し現職。2017年、エンタメ業界に特化したデジタル・キャスティングサービス「CLOUDCASTING」をリリース。これまで属人的だった業務をシステム化することでキャスティングにイノベーションを起こすべく、全国のキャスト(タレント・インフルエンサー・実演家等)には“活躍の機会”を、依頼者となるクライアントには“新たな才能との出会いと付加価値”を提供。エンタメ業界で活躍する個人事業主や芸能プロダクションに対してマッチングの効率化、報酬の最適化等を図っている。
 
クラウドキャスティング:https://cloudcasting.jp/
BIJIN&Co.株式会社:https://www.bijin-co.jp/

クラウドキャスティングの成り立ち

CLOUD CASTINGのタレント一覧。誰もが知る有名人から知る人ぞ知る方まで幅広くキャストを取り揃えている。

―クラウドキャスティングについて教えてください。

クラウドキャスティングは、登録タレント(=キャスト)をインターネット上でさまざまなイベントや広告素材にキャスティングができるサービスです。2023年10月現在、約35,000人のキャストに登録いただいています。出演の成約件数はこの1年で約10,000件にのぼるようになりました。キャストはテレビタレントからYouTuberまで多岐に及びます。TVCMの出演、SNSマーケティングの広告素材から学園祭・企業イベントなどにタレントを呼びたい多くの方にご利用いただいています。

 

―クラウドキャスティングのアイデアはいつ頃思い付いたのでしょうか?

 

2009年頃に、「美人時計」というインターネットサービスの事業を弊社で承継したときから、クラウドキャスティングのようなデータベースビジネスをしたい構想がありました。美人時計は、「美人時計であなたは1分間の恋をする」をコンセプトにして生まれ、手書きのボードを持った若い女性が日替わりで入れ替わって時刻を知らせていくサービスです。本サービスは沢山の女性に登録いただいていました。さらには「美人時計のキャストにイベントに来てほしい」という依頼が企業から舞い込むようになり、事業として見ても、マネタイズに成功しました。そういった経験から、収集したデータとクライアントとのマッチングビジネスを拡大することは以前からイメージしていました。

 

―その延長線上にクラウドキャスティングがあると。

 

そうです。実際、美人時計の登録者約1万人にご協力いただいたさまざまな活動をフォーマット化して仕組みとして構築したのがクラウドキャスティングです。いわば、弊社の「社内用ツール」を外に出して行ったような感覚です。

マッチングビジネスは、どうしてもニワトリと卵のどっちが先か問題にぶつかるものです。キャストという登録者がいないとクライアントも付かないし、クライアントがいないと誰も登録しない。だけど私たちには最初から美人時計で集めた1万人がいました。そのため、クライアントの登録も比較的スムースに行きました。

 

―キャスティングのやり方は?

 

求人広告に近い募集形式と直接特定のキャストを指名する2パターンがあります。ギャラは仕事を発注するクライアント側が自由に決めることができます。

例えば地域の盆踊りのイベントに来てくれる芸人を呼びたい場合、10万円といった予算や他条件を入力します。そうするとその条件で行けるタレントのマネージャーから申し込みが来る流れです。それをクライアントが承認し成立したら、クラウドキャスティングが双方から10%ずつの手数料をもらうビジネスです。

 

デジタル嫌いの芸能界。導入はコロナ禍が後押し

 

―現在どのぐらいの数の芸能事務所が登録していますか?反響はどうでしょうか?

 

芸能事務所は現在約350社登録があり、毎月10社前後の問い合わせが来ています。これまで芸能事務所と付き合いがなく、仕事を依頼できるキャストは美人時計やフリーランスの方ばかりだったので、コロナ前に私が芸能事務所に営業をしました。

その結果、「ウチは人の繋がりで仕事をもらっています」とか、「デジタル系は興味ありません」などと言われ断られた所も沢山ありますが、なんとか約30社と契約できました。従来芸能界とIT業界は親和性がなかったのですが、コロナ禍になると途端にドンドン問い合わせが来たので「種をまいておいて良かった」と思いました。

 

―いわゆる芸能人以外の職業の方もキャストとしていらっしゃるのでしょうか?

 

タレント以外だと、ファッション系のブロガーやライター、読者モデルなど、そういった方々も約30,0
00人登録していて、編集部側からその方々への発注ツールとしても利用してもらっています。当日急に「映画の試写会に来て下さい」などといった参加者探しもたまにあるのですが、従来編集部の方などがやっていた、経費・ギャラの支払い方法はどうするかといった雑務も、一手に引き受けてこのシステムの中でやっています。

 

―そういった利便性もあるのですね。他の機能も教えて下さい。

 

クライアント側にとって便利なのは、タレントやフリーランスの方の、これまでの遅刻実績の有無やレスポンスが早いかどうかなどの特徴を閲覧できる機能です。また、広告代理店とクライアントとで応募者のリストを共有することもできます。

因みにお笑い芸人の「さらば青春の光さん」は、YouTubeやイベント出演の問い合わせ窓口はクラウドキャスティングが担っています。彼らは少人数の事務所なので、膨大な数の問い合わせに対応することが難しい。そのため、弊社が条件に合う依頼をピックアップすることで業務負荷軽減に一役買っています。

 

―実質、芸能事務所ですね。他にはどんな対応をしていますか?

 

今や多くの芸能事務所のHPで、「イベントなどへの出演オファーはクラウドキャスティングからお願いします」などと掲示頂いています。

弊社でサポートしている内容としては、芸能事務所が苦手としている「契約まわりの書面のやり取り」です。契約書や請求書の作成・発行などの事務系の作業が苦手な所が凄く多いので、その辺りを代わって行っています。それに加え、基本的なメニュー以上の、より複雑なオーダーへの対応を今後強化して行きたいと考えています。

業界はまだまだアナログな商習慣が残っており、契約関連をキチンとしていないところが多くあります。書面を交わさずに口約束がまかり通っているので、弊社では、従来ずさんだった肖像権の管理もできるようにしました。

例えば何処かの会社のホームページにタレントを使う場合、1年契約でいくらとなっているのに、期限が来ても載せっ放しのままでキチンと管理されていないことがざらにあります。

それでいて、1年経つ頃には担当マネージャーが辞めているなんていうこともあります。こういった弊害を避けるため、弊社が一括管理を行い、期限が来たらフラグが立つようにしておいて継続如何の意向を訊くのです。

 

芸能界以外にも。業態により形を変え業界の課題を解決

―業界の問題も解決して行けそうで、今後需要が増えそうですね。

 

そう思います。芸能事務所にはメリットがキチンと伝わって欲しいと思っています。クラウドキャスティングは、単なるマッチングサービスではありません。「芸能事務所のDX」を手掛けるサービスです。従来、過酷な就労環境が常態化し、いわゆる「ブラック」と言われても仕方のない業界でした。

そういったこれまでのやり方を見直す時期に来ています。マネージャー職についてもタレントの御用聞きみたいな側面のみが目立ちますが、本来彼らはタレントの仕事をとってくる営業にも注力する必要があります。ですから、雑務的なことは全部クラウドキャスティング内で私達がやりますよ、と呼び掛けています。そうすることでタレントにもマネージャーにも本来の仕事に集中してもらう事ができるのです。マッチングサービスという点だけではなく、“そこ”を提案しているのですよね。

 

―業界の問題点は、クラウドキャスティングの導入で良くなって行きそうでしょうか?

 

はい。改善していけると思います。例えば、ある大物タレントの場合は、ヘアメイクの方なども特定の方が指定されてきました。そこまではOKなのですが、そのヘアメイクの方に対して通常の相場のギャラから見ると、言われるがまま法外な金額のギャラを支払わなければならないことがあります。これは一例ですが、このように明朗会計とは程遠いことが数多くある世界なのです。私たちはそういった点を是正・適正化して、業界のスタンダードを作って行きたいと考えています。

また、クラウドキャスティングはキャストのギャラのシミュレーションができるのです。その機能を最近リリースして、ビジネス特許も取っています。ギャラのミスマッチで巧く合意にたどり着けない案件を減らして行けば、もっと成約率が上がるはずなのです。これはクラウドキャスティングの中にいるタレントだけでなく、どんな超大物タレントや経済人のギャラでもシミュレーションができ、オファーを出すことができます。

 

―金額は何に基づいて算出されるのでしょうか?精度はどうですか?

 

基本はSNSのフォロワー数やアクセス数、テレビへの出演率など、これまで収集して来たさまざまなデータを掛け合わせて作っていて、なかなか高精度です。何への出演なのか、拘束時間、場所、メディア取材の有無、肖像権の利用希望有無などの条件を設定してシミュレーションをするのですが、若干の誤差はあるものの、それらの条件に基づいて計算された金額が表示されます。このスタイルは今後スタンダードになって行くと思います。

且つ、裏ではどんな語句で、誰がどのジャンルで検討されているのか、などのデータを勿論取っていますから、精度は上がって行くはずです。

このように、どうやってスタンダードを取るかということが私はすごく重要だと考えています。地元札幌でも芸能界でも、やはり「スタンダードなもの」を、私は創り上げたいと考えています。

 

クラウドキャスティングの今後の展望

―クラウドキャスティングのシステムを、旅行などのさまざまな切り口でマッチングサービスとして提供しているのですよね。その他はどの業界に分け入って行こう、といったプランはありますか?この辺りの企画はどなたが考えるのでしょうか。

 

楽天さんにご協力を頂きOEMをおこなって、楽天トラベルと楽天市場の出店者に、ホテルや商品を紹介してくれるインフルエンサーらの募集を掛ける用途などでご利用頂いています。
企画は私と社内のメンバーでおこなっていて、今注力しようとしているのがキャラクターのIPです。ヒット作はタイアップの依頼などの問い合わせが多く来ているはずなので、問い合わせ対応やさまざまな形でのコラボレーションをメニュー化して提供することに需要があるだろうと考えています。講談社とも話をしていることで、「あしたのジョー」や「ビーバップ・ハイスクール」、「巨人の星」などは、その世代には絶対的な知名度があり、使いたい企業も多いはずなのですが、原作者がOKを出すかといった懸念など、ハードルが高いイメージがあるみたいです。

 

あと今後広げて行きたいのは、VTuberや外国人タレントとかでしょうか。ブルーノ・マーズやメイウェザーなどにも、やり方さえ分かればオファーを出しても良いと思うのです。1億円払ってでも結婚式に呼びたいっていう人もいると思うのですよね。

 

―クラウドキャスティングは、クライアントやタレントさん達に向けてどういった販促をしているのですか?

 

企業側へはリスティング広告しかやっていません。キャストに対しては、広告は全く出してきませんでしたが集まっていただいています。これからはクライアントを増やしたいと考えており、こういった取材を受けるなど、広報活動に注力しています。あとはSEOで、タレントの名前で検索した際、仕事の依頼はクラウドキャスティングへ、と表示されるようになって来ています。

 

クラウドキャスティングはインフラビジネス

BIJIN&Co.本社オフィスの外観

 

―資源としての社内で一緒に働く「人」について、どう考えているか教えて下さい。例えばどういう人と働きたいだとか、どういう人をリクルーティングしたいだとか、クラウドキャスティングの事業で採用する方について、どういう人と働きたいと思っておられますか?

 

20代に、札幌で携帯電話の営業をガシガシやっていた頃はピラミッド型の営業組織を経験したのですが、それをもう一回やりたいとは全く思いません。クラウドキャスティングというプラットフォームを利用した今のこの組織を、更にさまざまな新しい事業をやりたいという意欲の有る人と一緒に、盛り上げて行きたいのです。

これからの時代、与えられた仕事だけを淡々とやりたい人と、向上心を持って働く人と、その2パターンに分かれて来ると思います。与えられた仕事だけをやりたいという人にも見合った配置をして、向上心がある人達に新しい何かを生み出してもらう、そういう採用・人員配置を巧くやって行きたいです。

(次回は、田中さんが辿ってきた変遷についてお話をお聞きします)

 

提供:BIJIN&Co.株式会社
制作:THE RACE 編集部